高血圧とは
高血圧とは、安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態をいいます。
高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって固くなったりして、動脈硬化を起こしやすくなります。
高血圧を放置していると
高血圧の状態を放置していると、動脈硬化を促進し、脳卒中や心疾患、あるいは慢性腎臓病などの重大な病気につながります。
とりわけ最近の研究から、脳卒中は男女を問わず高血圧の影響が大きいことが明確になっています。
高血圧とメタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームは、腹部肥満をベースにして、高血圧や高血糖、脂質代謝異常などの危険因子がいくつか重なった状態のことです。
メタボリックシンドロームになると、冠動脈などの動脈硬化を促進し、心筋梗塞などの心疾患を引き起こしやすくなります。
日本人の場合、メタボリックシンドロームを構成する危険因子のうち、最も多くみられるが高血圧です。
高血圧は、単独でも心疾患のリスクを高める要因なので、両方が重なっている場合には非常に注意が必要だといえます。
高血圧の予防と改善
食生活を見直す
高血圧の人は自分でも気づかずに、血圧を上げるような食生活をしています。「血圧が高め」といわれたら、まず食事の内容や仕方を見直すことが大切です。
減塩を心がける
日食生活の中でも、まず見直したいのが塩分の摂取量です。
減塩による降圧効果には個人差がありますが、世界的にみても日本人は塩分をとりすぎている傾向があるので、まず減塩を心がけることが大切です。
日本高血圧学会のガイドラインでは、1日当たりの塩分(食塩)摂取量の目標を「6g未満」と設定していますが、同時に「より少なくすることが理想」ともしています。
ミネラル類をしっかり取る
血圧を調節する成分に、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルがあります。
カリウムには、腎臓から余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。マグネシウムは、その働きを助けます。
カリウムは野菜や果物、海藻類、豆類などに多く含まれています。中でも野菜類や海藻類はカロリーが低く、メタボリックシンドロームの人にもいいので、しっかり食べることが大切です。
また、マグネシウムは、海藻やナッツ類、豆類などに含まれています。野菜サラダに豆やナッツを入れるのもいい方法です。
生活習慣を見直す
高血圧と生活習慣
高血圧は典型的な生活習慣病です。高血圧の要因となる運動不足やアルコールのとりすぎなどを見直してみましょう。
運動で血圧を下げる
適度の運動には、高血圧を改善する効果があります。さまざまな調査・研究から、運動によって私たちの体内では次のような作用が活発になり、相乗的に血圧を下げる効果がみられることがわかっています。
・交感神経の働きが低下して血管が拡張し、血圧が下がる。
・インスリンの働きがよくなり、相対的に分泌量が減り、インスリンのもつ血圧上昇機能が弱まる。
・利尿作用が活発になり、体液量が低下し、血圧が下がる。
節酒を心がける
アルコールは一時的には血流をよくし、血圧を下げる効果もみられます。
しかし、飲みすぎると、反対に血圧を上げます。飲みすぎの状態が続くと、心疾患のリスクが急速に高くなります。
出来れば禁煙を
喫煙の習慣が、高血圧の要因かどうかについては、まだ明確になっていません。
ただしタバコを喫うと、一時的に血圧が上昇します。
また、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳卒中の原因となることがわかっています。さらに、メタボリックシンドロームの重要な危険因子でもあります。
それだけに「血圧が高め」の人は、タバコの本数を控え、できれば禁煙をするほうがいいでしょう。